小説を書くことで身につく能力は、21世紀に必要とされる

12歳の文学賞は、単に「物語を書いてみましょう」というコンテストではないと思っています。

ロングセラーとなっているビジネス書「ハイコンセプト」(ダニエル・ピンク著、大前健一訳)は「情報の時代」だった20世紀に対し、21世紀は「コンセプトの時代」になると述べています。

ちゃんと説明しようとすると難しくなるので簡単に記すと、
20世紀型の世の中は、知識を使いこなす人が社会・経済を先導していた。
そこで求められていた能力が、21世紀ではコンピューターなどにとってかわられる。
したがって、21世紀には一歩進んだ能力が求められる。
ということです。

その「コンセプトの時代」で求められる6つの能力の一つが、物語を生み出す力だと言っています。

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定型的な知識労働の多くが、その形を変えられ、処理の速いコンピュータが代わりに行なうようになり、外国の賢い左脳型労働者に外注されるようになると、「物語」に代表される、「身につけるのが難しい能力」が、ますます貴重になってくるのだ。
(172ページ)

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僕は常々、「12歳の文学賞は将来小説家になる子を探し出す賞ではない」と言ってきました。
もちろん、優れた能力を持った人が将来、小説家になってくれたり、編集者になってくれたりするとすごく嬉しいのですが、まったく別のジャンルで「小説を書くことを通じて身につけた能力」を発揮してくれたら、それはまた非常に誇らしく思います。


まあ、そんな堅苦しいことを考えて小説を書かなくてもいいのですが、頭の片隅にでも「国語の成績が上がるだけでなくて、生涯にわたって使える力を鍛えられてるんだ」ということを知っておいてもらえたらなあと思います。